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「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか

依存症、自傷・自殺等、多様な当事者の心理をどう理解し関わるか。大好評を博した『こころの科学』特別企画に新稿を加え書籍化。もしある

人が「助けて」と言えないならば、そこにはそうなるだけの理由がある――。病気であることが明らかなのに、治療を受けることを拒絶する。学校でいじめにあっているにもかかわらわず、親や教師にそのことを打ち明けない。ホームレス状態から抜け出したいというニーズがあるはずなのに、支援機関につながろうしない。周囲が援助の手を差し伸べているのに、自傷行為や薬物乱用を繰り返す。こうした人たちは、「誰かに助けてほしい」という気持ちをもっていないのでしょうか。そもそも、他者に助けを求めるという行為は、誰にでも簡単にできることではありません。「援助希求能力が乏しい」とされるその人は、助けを求めることで偏見や恥辱的な扱いに曝され、コミュニティから排除されることを恐れているのかもしれません。あるいは、成育歴上の逆境的体験のために、「世界は危険と悪意に満ちている」「自分には助けてもらうほどの価値はない」「楽になったり幸せになったりしてはいけない」と思い込んでいるのかもしれません。だとすれば彼らが援助を求めることはなく、手を差し伸べても拒絶されるのは当然です。自傷行為や薬物乱用は、死にたいくらいつらい現在を生きのびるための、やむを得ない選択なのかもしれません。それは、彼らがカッターナイフや薬物といった「物」にしか依存できないことを示しています。「物」への依存から脱却し、安心して「人」に依存できるようになること――。本書ではさまざまな臨床現場の実践から、その道筋を探ります。

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